霧の濃い晩を走る鋼鉄の列車は
騒がしい景色を抜け郊外の駅に着く
降りる人に 家無しが縋って 哀れだ
コンクリート階段は
靴の裏ガムが付く あぁ
煙に巻かれた奴が
じっと見定めてくる公園で
足は止められないよ
ここを抜ければ遊び場なんだ
高架線の下にいる一匹の黒猫は
気高そうな顔つきで
行く人を馬鹿にする あぁ
煙に巻かれた街の
暗い道では ほら気を張って
浮かれる暇もないよ
闇が迷わせようとしているんだ
煙に巻かれた奴が
数歩ごとに僕を誘って来る
それを買う気はないよ
安い幻を売る商人だ
煙に巻かれた奴が
じっと見定めてくる公園で
足は止められないよ
ここを抜ければ遊び場なんだ