肘掛けにもたれる、その顎は
疲れているのか、退屈なのか
くしゃみをすれば、滑り落ちる
わずかなカで支えながら
ぼんやり光る電灯の向こう
ぼんやり遠目に眺めている
ちらつく影に意識は動かず
遠くに響く音に時間を
背中に感じる寒さは別に
不安を予感させるものではなく
過去に見つけた自分の武器に
逆転の兆しを教えてくれる
椅子の下の影になっている
その奥に手を伸ばしてみる
指先が捕えたホコリは確かに
うっとうしいものではあるのだが
行き去る道、これから行く道
戻るこどは出来ないのさ、どの道
走り続ける車は行き先を
確認しながら進んで行く
到達地点まではもう少し
そろそろ気を休めることにしよう
思い出す事はさっきのパンク
減り続ける残り少ないガス
行き交う車が少なくなり
辺りはだんだん暗くなり
アクセル踏み込み、先へ急ぐ
間近の行く手も見えないままに
目を堅く閉じ、ぐるりと回る
それで迷子になれるわけさ
そろそろ始めることにしようか
巻き戻しの出来ない過去作りを